2013年7月26日金曜日

離婚の本当の被害者である子どもの「心を救うこと」を忘れない重要性!


離婚の泥沼劇を子ども達に見せていた事実


離婚後、しばらくしてから、離婚は子どもにとっては迷惑以外の何ものでも無いと改めて気づかされたのです。
私の場合は夫の浮気が原因での離婚だったので、私には全く非が無いと信じていました。
その時、娘は6歳、息子は3歳でしたので、幼いので大人の事情を話しても分からないと思い込んで、何の説明もしませんでした。
離婚と同時に母親である私が当然のように親権を取り、わずかな蓄えに夫から獲得した慰謝料300万円と毎月の養育費10万円をあてにして新しい生活を始めました。

夫の浮気に気づいたのは離婚の1年前。
子どもが生まれて以来、夫は残業と言って飲み歩き、土日もゴルフ三昧でした。
それに、宿泊の出張が加わり、クレジットカードの支払いが増え、ダイエットを始め、異常にオシャレになりました。
ホテルでの密会の現場を押さえると夫は観念しましたが、反対に開き直り、あっさりと浮気を認めましたが、罪の意識は皆無でした。

私からの離婚の申し立てには「本気じゃないよね!」と夫は全く取り合い、話し合いは出来ませんでした。
それから半年間、離婚は本気であると夫に伝えても「暖簾に腕押し」でした。
専業主婦の私に離婚は出来ないし、離婚してもやっていけないだろうと馬鹿にした発言もありました。
そんな両親の泥沼劇を子ども達は見ていたことに気付きませんでした。

離婚の話し合いにも応じず、はぐらかすばかりの夫の態度から「無神経で無責任、無関心な本性」を嫌と言うほど見せ付けられました。
協議離婚の可能性が無いまま、思い余って、大学の恩師に相談し、ようやく、「調停離婚」を家庭裁判所に申し立てたのです。
子どもを誰にも預けられないとどこにでも連れて行きました。
それからの半年間、私は必死の自己学習をして、家庭裁判所に通い、自力で離婚を成立させました。


無我夢中の離婚で、ないがしろにしていた子どもの存在

その1年間はとにかく無我夢中でした。
不思議なくらい、離婚を思いとどまることは一度もありませんでした。
短い人生でこれと言ってやり遂げることの無かった私にとって、初めて最後までフィニッシュ出来た事でした。
ストレスも尋常ではなく、不眠と慢性の下痢、寝汗などにも悩まされましたが、離婚をしない限り何も解決しないと思い、振り向かずに頑張りました。
我ながら、よくやったと思っています。

そんなに必死で頑張っっていた時期の私は子ども達のことを気遣うことも出来ず、ないがしろにしていたかも知れません。
子どもが自分にとって、最も大切な存在であると分かっていても全く気を回す余裕も無かったのです。
私の狭いキャパシティのせいだと思いますが、その時は本当に何もできませんでした。
そう考えると、私は情けない母親でした。
でも、子ども達は何の無理も言わずにいつも私と一緒に居てくれました。
本当にありがたいと思っています。
ごめんなさい・・・


子どもを傷つけているので、「心のケア」は絶対必要

私が離婚成立から2ヶ月以上経ってから、ストレスケアのために通院し始めた心療内科のT先生から「お子さんは離婚をどう思っているのかしら?」と聞かれて、ハッとしたのです。
無意識に子どもは私の味方だ、絶対的な理解者だと私は決めていたのです。

父親である夫は連日、残業だと言って飲み歩き、土日もゴルフ三昧でしたので、既に母子家庭の有様でした。
幸いにして子どもは夫との間に距離があり、父親不在は自然な状態でしたので、3人だけの暮らしにも妙に安心していました。

「お子さんはお子さんなりにショックだったでしょうね。」とT先生に言われ、私は心から驚きました。
「子どものことをそんな風に考えたこともありませんでした。」と正直に答えると、「それはまずいですね。出来るだけ早く、お二人を連れてきてください。」とT先生に言われました。
私はひどく慌てて自宅に戻り、息子の様子を見て、臨時にベビーシッターにきてもらっていた妹に「康介の様子はどう?」と聞いてみました。

末の妹の八衣路(はいじ)は当時28歳でしたが、大学時代にダブルスクールで専門学校の夜間に通い、SE(システムエンジニア)として、IT企業に勤めるキャリア志向のやり手のワーキングウーマンでした。
その日は、たまのお休みなのにシングルマザーの私のために康介のベビーシッターを買ってでてくれていました。
八衣路は家族の中で最も私の良き理解者で頼もしい存在でした。

八衣路は「ちょっと気持ち悪いくらいいい子よね。3歳のくせにちっとも子どもぽっくないのよ。私の面倒まで看ようとするからね。ひょっとして、お姉ちゃんの離婚のゴタゴタを目の当たりに見たせいかもね。」と言うのでした。
「ええ、八衣路は私の離婚のゴタゴタって知ってるの?」と聞くと、「何を言ってるの。あの頃のお姉ちゃんはひどい形相だったし、ピリピリしてて、近寄れなかったわよ。」と八衣路は笑って答えるのでした。
「自分では平静を保っているつもりだったのよ。」と私が言うと、「あれで~~冗談でしょう。どんな他人でもすぐに気付くくらいだったよ。今にも、自殺するか、刺し殺さんばかりのひどい様子だったよ。お姉ちゃんの近くにいた子ども達は本当に可哀そうだったけど、あの状態でお姉ちゃんから子どもを引き離せない感じだったし、ね。」と八衣路は困ったように話してくれました。
「あんまり心配だったので、私が頻繁に泊まりに来たのよ。忘れてるでしょう。残業していても気が気じゃなかったわよ。でも、パパは勿論、ママもお兄ちゃんも大姉ちゃんも知らんぷりでしょ。ウチの家族の時代遅れも骨董品並みだから、お姉ちゃんの離婚に反対と言うよりも想像がつかなかったようね。お姉ちゃんの友達もお馬鹿な専業主婦だしね。誰も相談にも頼りにならなかったよね。私は妹だし、独身だから、口も出せないしね。ただ一人、恩師の鈴木先生はスーパーお助けマンだったから、別格だけどね。本当に子ども達は大変だったよ。」と言う八衣路が家族の誰よりも大人に見えました。

「瑞希はどうなの?」と娘の様子を聞くと、「瑞希は意外にパパっ子だったからね。あんなパパでも、恋しいかもね。」とショックな返答が返ってきました。
「ウソ!そんなこと一度も私には言わなかったわよ!」と私がちょっと声を荒げると「ホラァ・・・そういうでしょ。だから、瑞希も黙っているのよ。第一、両親の離婚は子どもには関係ないでしょ!大人の身勝手と言えばその通りなのよ。ウチのシーラカンスの両親だって、今まで離婚せずに私達兄妹を育ててくれたのはある面、評価すべきでしょ。」と八衣路は言って「怒らないでね!!」とすかさず私を冷静にさせるのでした。

小学1年生の瑞希を待って、八衣路も一緒に大好きなドーナツを食べながらお話しすることにしました。
「ママ、どうしたの?何かあったの?」と言いながら、瑞希も康介も嬉しそうにしていました。
それを見ると私は突然涙が出てきて、止まらなくなりました。
驚く子ども達に妹が「ママと一緒にママの病院の先生のところについていってあげない?」と言ってくれました。
「ぼくがママと一緒に行ってあげるよ。」と康介が男の子らしく言うではありませんか。
この間まで、オシメをして、ミルクを飲んでいた赤ちゃんだったはずの息子が大人になっているのでした。
「わたし・・・学校でパパのこと聞かれて困ってる・・・でも、大丈夫。ママがいるからって答えてる。」と瑞希が困った顔をしていたので、変に言い訳をせず、「そのことも先生と相談しようね。」と言いました。
傷ついている子ども達への心のケアに気付けて本当に良かったと思った瞬間でした。


専門家のサポートは本当にありがたいもの

3日後、八衣路も休みを取ってくれたので、T先生の心療内科に4人で伺いました。
T先生は丁寧にありのままをとても上手に子ども達に説明してくれたので、胸のつかえが取れた思いでした。

「ママとパパは別々に暮らすことになったけど、瑞希ちゃんと康介君はママをしっかり守ってね。パパには時々会って、お話してくださいね。どんなことがあっても二人のことは、ママもパパも大切に思っているからね。」とT先生が締めくくってくれました。
お陰で私も元夫へのわだかまりも薄れ、二人の子どもの父親であることの事実を受け入れることができたのでした。

やはり、専門的で客観的なサポートが私達を救ってくれました。
T先生にはお礼の言いようもありません。
「仕事ですから」と笑顔でおっしゃったT先生の優しさが今でも忘れられません。

そんな時、同じ同窓生の「あの女が離婚するのよ!」とチェーンメールが届きました。
何だか、嫌な予感がしたのですが、その後すっかり忘れていました。

数ヶ月の後、チェーンメールを流した女性と離婚した女性との間で大喧嘩が始まっているとの噂を耳にしました。
何の知識も無い、世間知らずの専業主婦たちの暇つぶしにされた事への怒りが爆発したとの事でした。
下手をすると私も二の舞になっていたかもしれません。

そんな経験から、是非とも専門家の力を上手に借りるべきだと心底思っています。
渦中にいると本当に自分を見失うものですね。

T先生の診察に付き合ってくれた妹からも「お姉ちゃんの離婚から色々と教わったわ!」と喜んでもらえ、「お姉ちゃん、頑張ってね!いつまでも、応援するからね。」と涙のでるようなエールをもらいました。
私よりうんと年下のくせにとっても大人の妹には心から感謝しています。
ありがとう・・・

こうして、私は前に進むことが出来たのでした。

頑張れシングルマザー!





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